受け継がれる美意識「オーガニックアーキテクチャー」

オーガニックハウス, 波多野のブログ / 2024/04/06

アメリカ建築学上最も重要な建築物とされ20世紀最高の住宅と言われるFALLINGWATER 落水荘 。

1936年に完成したこの建物は、ライト69歳の作品。ピッツバーグ・デパート経営者エドガー・カウフマンと妻リリアンの為に設計した「夏の別荘」で、息子がタリアセン所員という関係であった。 また、カウフマン一家は当時百貨店経営で繁栄を極めた大富豪だったが、ユダヤ系ゆえ地元上流階級には受け入れられず、カントリークラブにも入会が認められなかった。成功すればするほど疎外され、孤立せざるをえなかったカウフマンが、自らの城として築き上げたのがこの落水荘。 「この滝で一番気にいっている場所は?」とライトに問われ、指差したのがふたつの岩。カウスマン一家がその上で日光浴を楽しんでいた滝の巨岩は、そのまま住宅の中に取り込まれ、暖炉前の団欒スペースに用いたという伝説を生んでいる。

また、この家のためにデザインした169の家具と、カウフマンが収集した800近くの調度品、織物、手工芸品を含むすべてが当時のまま残されています。 尚、1963年にペンシルベニア州西部保存団体に運営委託されてから、300万人以上がこの建物を訪れている。

キャンチレバー

キャンチレバー cantilever(キャンティレバー/片持ち梁)で有名なこの作品。水平方向へ張り出す「梁」はまるで重力から解放され宙に浮いているような感覚を与えてくれます。 また、水平ラインにこだわった面の重なりの美しさと究極の軒の薄さはライトのゆずれない信念。そのためバルコニーの手すりの高さはとても低く設計されている。 ※テラスが7インチ(約20センチ!)たわんだ為、2002年の3月に構造的な修復がされ、現在は鉄骨フレームで支えられています。】

自然の懐こそが心地良い

リビングから川へ下りるガラスでおおわれた階段があります。この階段は途中でとまり、水面にとどいていません。カウフマン氏は幾度もこの用途のない階段についてライトに尋ねたそうですが、ライトはどうしても必要なものだと主張しました。 この階段こそが、リビングと川を結ぶ象徴的な役割と同時に、空気と音をとり入れる大きな役目を果たしました。 かのアインシュタインもこの地を訪れた際、階段を降りてはしゃいで服のまま水に飛び込んだという逸話もあるくらい居心地の良さを感じる場のひとつです。

リビングの窓は大きく、天井は低く作られている。低い天井はリビング内部の人間に圧迫感を与えながら、人間の意識が、大きな窓を通し自然と外へと向かうことを意識させる。ベットルーム窓に近い天井部分も低くなって折、リビングと同様に外へ向かせる意識とともに上階の床を補強する働きもある。

外部の岩石を内部の暖炉前まで立ちあげている。 樹木のように空に向かって伸びる煙突に使用された乱石の積み上げがそのまま内部にも使われて、内外の材料の一致をはかりながら、外の自然と内をゆるやかにつなぐ。

1階・2階・屋上と広いテラスが段差なくつながり、この上から瀧を眺めおろすことが出来る。 日本建築の縁側の仕掛けから学び、自然との調和が巧みに図られている。 

内と外を隔てるものがないような感覚を作り出すスチール製ウインドウォール。 隅に方立てをつけず、押し開けサッシを突き付けた、隅あけ窓として大自然との一体感を求めた。 この試みは、ロサンゼル/ストーラー邸に端を発し、落水荘の垂直性を示す部分で特徴的に使われている。

創りつけ家具をはじめオブジェ等が、「隅」に集められ、中央に大きな空間が生まれる。床面が広がりをみせながら、視界に余裕が生まれる。

リビングの窓辺のベンチは、今でこそ広く使われる手法だが、当時は画期的。 ソファーに「座布団」がのっているのがいかにも日本を愛したライトらしいデザイン。

暖炉側にある赤いボールはワインを温めるための物であり、赤いレールを伝って、暖炉の火の上に導かれる。 室内では、この赤色が効果的につかわれ統一感をもたせている。

自然の美しさを損なうことを徹底的に嫌い、コンクリート板の端部はすべて丸く加工し、輪郭を和らげながら【存在感を消しながら】連続した空間とともに光の変化を感じることができる。

 

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